学術講演会:堤も絵博士((株)資生堂 研究員):化粧品開発と皮膚科学-触覚受容器メルケル細胞を例に-

学術講演会

日時:2022年12月16日(金)13:00〜14:00
場所:理学部 B棟 707 数学講究室
講師:堤 も絵 博士((株)資生堂 研究員)
演題:化粧品開発と皮膚科学 -触覚受容器メルケル細胞を例に-

コミュニケーションツールの進化は目覚ましく、さらにパンデミックが身体的孤立を生み出した一方で、自己あるいは他者との実感を伴う物理的な接触の重要性が見直された。そこで我々は、化粧行為に伴うタッチに着目した。皮膚には4種の機械受容器が存在し(1)、軽いタッチを受容するのは皮膚表面に存在するメルケル細胞であることが知られている(2,3)。我々はヒト皮膚におけるメルケル細胞の機能解明を目的とし、メルケル細胞の分布および加齢変化を観察した。また、機械刺激に反応するとされるメルケル細胞に嗅覚受容体が発現することを見出し、ライブセルイメージングによってその受容体が機能していることを示した。本講演では、神経科学と皮膚科学の融合領域から化粧品開発までを説明する。

参考文献
1) A Handler and D D Ginty. The mechanosensory neurons of touch and their mechanisms of activation. Nat Rev Neurosci. 2021;22:521-537. doi: 10.1038/s41583-021-00489-x.
2) A Zimmerman, L Bai, D D Ginty. The gentle touch receptors of mammalian skin. Science. 2014 Nov 21;346(6212):950-4. doi: 10.1126/science.1254229.
3) S Maksimovic et al., Epidermal Merkel cells are mechanosensory cells that tune mammalian touch receptors. Nature 2014;509:617–621 doi: 10.1038/nature13250.

皆さまのご来聴をお待ち申し上げます。

世話教員:中田 聡 nakatas(AT)hiroshima-u.ac.jp